㊊売れない時にマーケティングすると陥るドツボ

目先の利益の前に、現状把握を。

「努力でなんとでもできる」とかいう精神論が蔓延っている日本は、物事を全体で見たり捉えたりすることが、とてもとても苦手になっているように思います。

上手く行かなくなった時、そこには何らかの理由が常にあるはずで、その理由を的確に捉えることが何より大事です。

そして、その理由には努力でなんとかできる範疇とそうでないものが必ず存在するはずなのに、なぜだか日本は努力でなんともできない範疇を無視しようとする傾向が強いと思います

もしも努力でなんともならない市場環境が顕わになった場合、早期事業撤退という判断をした方が、企業全体の安全に繋がることは沢山あると思います。

しかし、そこをドライに見つめられないのが、日本人なのかなと思う所があります。

つまり、現状を理解したとしても、「努力でこじ開けよう」とし過ぎてしまう事が多々あり、そして、ドライを無視して情緒的な努力に走ることによって、より一層深いぬかるみに落ち込み、無駄な努力を積み重ねることに繋がっているケースは多いように思います。

とはいえ、こういった企業ばかりではなく、否応が無しに衰退が見込まれる事業からは潔く撤退し、培った技術を違う分野で発揮する企業も存在します。

FUJIFILM(富士フイルム)がまさにそれでしょう。

FUJIFILMは時代の転換を見越して、2005年(今から14年ほど前)に大きく方向転換を図りました。それまで写真フィルムと現像で業績を上げていたことは誰もが知っていることですがそれを縮小し、医薬品、医療機器、化粧品や健康食品に力を入れ、精密化学メーカーへと転身していきました。

このように時代に合わせていきながらも、それまで培ってきた経験や実績を活かす事は幾らでもできるのです。

でも、なぜだか日本は現状維持のために努力を費やしてしまい、それが単なる疲弊を積み重ねるだけの無駄な作業になっていることが多々あります。

まず、私たちが認識するべき事は、今まで通りの努力じゃなんともならない事が沢山あるということです。しかしながら、今までと違う努力をすれば、スムーズに乗り越えられることも沢山あるということです。

できるだけ軽やかに乗り越えていくため必要なのは、とにかく客観的な現状把握です。それだけです。

しっかりとした現状把握ができたのなら、どんなに努力したところで、それが利益に繋がらないことはいとも簡単に分かるものなのです。

そこに目を向けなられないからこそ、無駄な努力のルーティーンを続け、社内が精神論の宗教団体みたいに変貌していきがちです。

さらに商品も、市場に媚びるようになっていくからこそ、どんどん面白みのないコストパフォーマンス的な優位点で勝負するしかなくってしまいます。

コスパを重視した商品を売れば、社内も同様にコスパを意識するようになりますから、社内の雰囲気だって悪くなります。

結局、目先の合理性を追求すれば、何もかもが面白くなくなり、八方塞がりで未来が見えない地獄を作り出すことに繋がるのです。

日常生活でも一番大事なのは、現状把握。

ここからは、日常生活に話の視点を変えていきましょう。

 

ここまでお話しさせて頂いた通り、企業の運命を決めるのは、現状把握に尽きると私は思っています。

これと同様に、私たちの日常生活においてもっとも大事な事は、やはり現状把握だと思います。

どのような環境の中に自分が身をおき、そしてどのようなポジションの中に自分がいるのか、そこがきちんと把握できていれば、その上でやるべき事は大概の所明確になるはずです。

しかしながら、ここと向き合う事を避け、理想を追求するのが昨今の社会の風潮です。

自分の立ち位置が理解できていないのに、理想を追求すればそれに近づくなんて、はっきり言ってあり得ないです。

そのあり得ないことをしているからこそ、多くの人たちは自己啓発やスピリチュアルに没頭したところで抱えた問題がいつまで経っても解決できない状況に陥っているのでしょう。

もっと言えば、反って問題を増やす結果に繋がっているのでしょう。

この現状を作り出しているのは、先に申し上げた通り「マジョリティ思考」になっているからです。

世の多数に合わせれば、良くなる・なんとかなる・上手く行く的な感じの、近視眼的な方向性に舵を切っているからこそ、問題は解決されず、さらに窮地に陥っているだけのことなのです。

ですから、早期解決を求めず、まずは問題点を見つけるための現状把握に没頭してほしいなと思っています。

 

 

とはいえ、現状把握と言えども、どうしたら現状把握ができるのか、その方法すら分からなくなっているのが今の社会だと思います。

現状把握をどのように行えば良いのか、それは来週以降の記事で書くことにしましょう。

 

現段階では、現状把握を怠り、直近における都合の良い未来を引寄せようとしがちな思考性が、問題を解決させず、より大きな問題を作り出している事実に気がついて頂けたらなと思ってます。

 

ということで……今日の話も長くなってしまいましたが、ここまでです!

 

それから「今日から使えるマーケティング講座」の過去記事が読みたい場合は、TOPの「曜日企画」→「㊊今日から使えるマーケティング講座」を押して下さい。

今までの過去記事が見れます。

またマーケティングに関して他の記事が気になる方は、ページ右上にある検索窓や🔍で「マーケティング」と入力してみて下さい。

 

それでは来週月曜日の7時にまたお会いしましょう♪

 

2 件のコメント

  • 難しいテーマを分かりやすく説明していただき、また個人レベルの問題提起に落とし込んでいただき感謝しています。
    私としては、個人レベルの方が非常に興味をもって読ませていただきました。
    問題の本質を深堀りしていないのに、現状をより良くしようと何かにすがっても良くはならないですね。
    これからのサラリーマンは「働き方改革」等時代の流れを利用しないといけませんね。
    就業規則にうたって無くても、今後より一層、何らかの事業を起こす事が求められるような気がします。
    「副業」を考えるなら時間を切り売りするのではなく、サブスクリプションになるようなものを考える。
    それか金融関連を目指すべきかと思います。
    ただ前提になるのは「何故お金が必要か」「そもそもお金とはなんだろう」「自分にとって幸せになるためには」
    「何故人は働くのか」をそろそろ真剣に向き合う時ですが...答えは常に自分の内なる心が知っているはずです。
    それから、先月富士ゼロックスのエグゼクティヴセミナーに行ってきたのですが、
    竹久さんの仰る通り、富士フィルムグループは「化粧品・医療部門」と「複合機部門」の2本柱に集中するそうです。
    「複合機」と言う概念を取っ払って、「サーバー」と言う位置づけにしたいようですね。
    富士フィルムさんもデーターセンター事業を真剣に取り組んでいたら、今ごろアマゾンを凌ぐ世界企業になっていたのに。
    アップルさんよりソニーさんの方が市場を取れていた事と同じで、日本企業の弱いところですね。

    • こんにちは。
      仰る通りだと思います。
      今のように、家にいても会社にいるのと同じような事ができてしまう時代になる前は、会社で仕事をする必要があったし、組織もとても必要だったと思います。
      しかし、いろんな分野でインフラの整備が進んだ結果、組織と個人の垣根がかなり薄くなりました。
      だからみんな混乱しているのだと思うのですが、垣根が薄くなったことは、一般庶民としてはとても有難いことであり、明るい未来を創り出す原動力になるはずなのですが、文句を言いながらも今まで通りの方が安心だと思ってしまう多くの人の心が不安な社会環境を作っているんじゃないかなと思ってます。

      来週は現状把握について深掘りしますので、是非そちらも読んでみてください。

      それから、今日のコメントを見るまで、富士ゼロックスが富士フイルムのグループ会社だったとは知りませんでした。教えてくださりありがとうございました。

      これからも宜しくお願い致します。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    CAPTCHA


    このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください