㊍17 クリスタルブレスレット 私物語~ムーの記憶~

木曜日は「物語の時間で~すよ♪」ということで、私が書いた小説をお届けしています。

この作品は2017年3月頃に書いた作品です。

当時瞑想とかしたりするとこの作品に書いた映像が浮かんでしまいまして……そしてそれが日常生活でも消えない状況になってしまったので、浮かんでしまった映像をそのまま文章化した作品です。

どうぞお楽しみください。

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17 クリスタルブレスレット

 

「アウワ、しっかりして」

 

狼狽えている私に気が付いた母が傍に寄って来て、体をさする。私は母を見上げ、ゆっくり聞いた。

 

「お母さんはどうして平気でいられるの?」

 

母は深く息を吸った後、その息を笑いながら吐いて言った。

 

「平気では……ないわ。でも、これが私たちの役目。だからこそ、平気のつもりでやらなくちゃね。アウワはどうする?平気でいられないなら、眠る方法もあるわ。動揺が大きい事は、周りに迷惑をかけることにもなるのも分かるわよね。どちらでもいいのよ、どうする?」

 

私は、しばらく黙って考えていた。その間ムーの人のことが沢山頭に浮かんでいた。

 

ちらつくグウワのこと。最後にグウワの放った言葉が私を急にシャキッとさせた。

 

― 絶対に生きてるから。彗星のことが収まったら、一緒に国を造り直そう ―

 

私は母の瞳の奥をしっかりと捉えて言い切った。

 

「平気でいるように頑張るから、起きていていい?」

「もちろん」

 

そう言うと母は、私の左手にクリスタルブレスレットをつけた。

「ブレスレットを嗅いでみて」

 

母に言われた通りクリスタルを鼻に近づけると、クリスタルの奥からは、先ほど船内に充満した花の香りがした、石の揺らぎも心を落ち着ける。

 

「心がいつもと違う動きをしてると思った時、今までと違う感情の中で涙が頬を伝う時、このブレスレットを胸にあてて。石の波動に体は共鳴するから。すぐに落ち着くはずよ」

 

「分かった……ねぇ、お母さん……」

 

「何?」

 

「あの星が地球にぶつかるまで、後どれくらい?」

 

「正確には分からないけど、もう半日もないはずよ。星にある水分はもう太陽に温められて星を取り囲む大気に変化している。大気がいつ地球の引力に引っ張られてもおかしくない場所にもうすぐ突入するの」

 

私はクリスタルを強く胸に押し当てた。

 

母は「その調子」と言い、笑った。

 

「地球に彗星がぶつかる瞬間を見ることはとても辛い事だけど、これをしっかり見ることが、必ず次の地球に繋がるはずだから」

 

私がブレスレットを押さえながら頷くと、母も身に着けているクリスタルブレスレットを胸に押し当て、もう一度微笑んだ。

 

つづく

 

つづきは来週木曜日に公開です。

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