木曜日は「物語の時間で~すよ♪」ということで、私が書いた小説をお届けしています。
この作品は2017年3月頃に書いた作品です。
当時瞑想とかしたりするとこの作品に書いた映像が浮かんでしまいまして……そしてそれが日常生活でも消えない状況になってしまったので、浮かんでしまった映像をそのまま文章化した作品です。
どうぞお楽しみください。
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16 桜の花が香る頃
私が目を覚ました時、宇宙船は既に地球の大気内を抜けて宇宙空間に突入していた。多くの搭乗員はもう椅子を床の中にしまい、船内を自由に歩き回りながら、宇宙と地球の観察を始めていた。
私はすぐにシャキッとすることができなかった。眠りに落ちた恍惚感から抜け出せなかった。
船内はムーにいた時とは違う緊張感が漂っていたが、眠りにつく前ほどではない。どうやら、緊張から出る周波数が一定以上になると、先ほどのように緩める香りや音が船内を埋め尽くし、人間から出る周波数を戻し宇宙船全体の周波数を一定化させるようだった。
「起きた?」
私の様子に気が付いたシュウワが声をかけてきた。シュウワは随分前から起きているようで、シュウワの席は床にしまわれている。
「うん……今どの辺り?」
「彗星の近くだよ」
「彗星?どこに?」
「あれ!目の前のあの星」
「えっ……」
私は息を呑んだ。それは彗星なんかじゃなかった……。
目の前にあったのは星だ。巨大な星だ。地球よりは小さいのかもしれないが、目で見る限り、ほぼ同じ大きさの星に見える。
「あんなに大きいの?!あれがぶつかるの?」
連日開催されていたスジャナティの学習会で散々彗星のことを学習したはずだと思っていたのに、宇宙船から見た彗星の実物、その大きさは私が想像していたものと全てが異なっていた。
彗星と言う枠組みには全く収まりきらない大きさの星が今、地球に向かっている。私は身体の身震いが抑えられなくなっていた。
つづく
つづきは来週木曜日に公開です。
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