㊋変わる!印税の形 ~ピンチに陥ったJASRAC~

おはようございます。

火曜日は「変わる、終わる、始まる」です。

この「変わる、終わる、始まる」では、社会全体のトレンド(流行や趨勢・すうせい)に関する情報をお届けしています。

時代によって、インフラが変わり、またこの変化によって人の興味も変わります。

激動の時代と呼ばれる昨今の中で、立ち止まって全体を俯瞰できる情報をお届けしていきたいと思ってます。

また「変わる、終わる、始まる」も月曜日の「今日から使えるマーケティング講座」と同様、お仕事で利用して頂けたら嬉しいなと思っていますので、こちらも朝7時に更新していきます。

こちらも朝のお供として、是非活用してくださいませ♪

 

印税ってそもそも何ですか?

ほんの少し前の時代は、「夢の印税生活」なんて言葉がよく聞かれたものです。

さてさて、その印税とはどんなものでしょう。

Goo辞書で意味を調べるとこんな情報がでてきます。

図書やレコードの定価・発行部数などに応じて、発行者が一定の比率で著作者または著作権所有者に対して支払う金銭。

この辞書でも図書やレコード書かれているので、著作権と言われると本やCD(楽曲)を創作した人に払われるというイメージが強いと思いますが、著作権はこれだけではありません。

ディズニーやキティちゃんなどのキャラクターにも著作権は存在し、そのキャラクターを利用してぬいぐるみやグッズなどを作った場合は、その著作権を持つ会社にロイヤリティを支払う必要性があります。

ちなみに、ロイヤリティとは「権利の使用料」を意味する英語で、印税よりも広い意味で使われる言葉です。

印税というのは、あくまで「書籍や音楽の作曲者などの作者に対して出版社が支払う金銭」の事を指し示すため、ロイヤリティよりも定義が本来狭いですが、昨今は「権利収入全般」を「印税」と呼ぶケースが増えています。

その理由は書籍&音楽業界の形がどんどん変わってきているからだと言えます。

 

印税ウハウハだったJASRACが窮地な訳

同じ印税であっても、書籍と音楽業界では印税契約の仕方が違うことをご存じですか?

書籍の場合は、作家が出版社と契約を交わし、出版社が刷った部数(売れた部数ではない)に対して、印税が支払われます。

音楽業界の場合も、アーティストとレコード会社が契約を交わすのは同じなのですが、印税の管理はそれを専門にしたJASRACが基本的に行っています。

なぜこのような専門会社がいるかというと、音楽の方が使われ方に多様性があるからです。

本の場合は刷った数に応じて、印税を払うだけですが、音楽の場合はカラオケで歌われた数なども印税に含まれる形になるため、レコード会社で全て把握するのは難しくなります。そのためJASRACという著作権管理会社が間に入って、どの場所でどのように音楽が使われていたか確認し、そこで使われた音楽の使用料を徴収する活動をしています。

しかし、音楽業界の構図は、かれこれ10年以上前からCDから音楽ダウンロードの時代に移っています。

そして、CDから音楽ダウンロードになった事によって一番大きな打撃を受けているのは、レコード会社よりも実はJASRACだったりします。

まずは音楽の単価ですが、今まではシングルCD一枚1000円くらいで発売されていたものが、音楽ダウンロードに切り替わったことによって1曲100円になりました。

確かにCDと音楽ダウンロードを比べると制作コストは抑えられるので安くなって当然と言えば当然なのですが、権利収入というものはそもそも売上単価の10%であるため、CD時代が100円だったとすると、音楽ダウンロードは10円となります。

つまり、10分の1の売上になってしまうのですね。この値段の減少は、JASRACにおいても同じはずです。

さらに、音楽ダウンロードが普及し、youtubeなどで簡単に音楽が聴ける環境が増えれば増えるほど、「音楽を買う」という行為は激減していくようになります。

かつて全国に沢山あったHMVやタワーレコードなどのレコード店の閉店が相次いでしまっているのも、この社会環境の変化を裏付けるものとなります。

また、このような社会環境をふまえてアーティスト側は、CDを売るというビジネスモデルから脱却し、ライブやファンとのコミュニケーションに重きを置くようになり、ライブ動員やグッズ販売に力を入れるようになっています。

ですが、これではJASRACに支払われるお金は全く増えません。

そのため、JASRACは徴収対象を年々増やし、またその管理を強化するようになっています。

かれこれ2年前、ヤマハ音楽教室内で使われる練習曲に対して印税徴収を申し立てた事がニュースになった事を記憶している人は多いことでしょう。

この事だけに留まらず、街角で流れるBGMや店内で流れるBGMにも目を光らせているJASRACなのですが、CDがほっといておいても売れる時代であれば、このような事に血眼になる必要性はなかったでしょう。

そして、JASRACのビジネスモデルが崩れ去ってもなお、そのビジネスモデルにしがみつく彼らは、音楽の権利を守る企業ではなく、音楽権利を主張した銭ゲバ屋に変貌してしまったとも言えるでしょう。

そして、JASRACの衰退こそ、また多くの出版業界が不況で喘いでいる実態こそ、印税そのもののビジネスモデルが転換している証と言えるのです。

まだまだお話ししたいことはあるのですが、今日のところはここまで!

来週はこのお話しの続きで「変わる印税の形~新時代の印税とは?~」と題してお届けしたいと思います。

それでは来週火曜日の7時にまたお会いしましょう♪

 

それから「変わる、終わる、始まる」の過去記事が読みたい場合は、TOPの「曜日企画」→「㊋変わる、終わる、始まる」を押して下さい。

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4 件のコメント

  • 知り合いが、JASRACの管理楽曲のカバーについて申請するのは分かるし、しなければいけない物だと思っていて申請方法について問い合わせたところ、それ以外も記入してくれと言われ憤慨してました。(その時はパブリックドメインのクラッシックを自分でアレンジしたものだったらしい)

    質問しても「決まりだから」の一点張り。
    もちろん、電話応対の人が分かってなかった可能性もありますが。

    音楽教室の件は、一条校でもないし、アレンジして販売している譜面がじゃんじゃんコピーされて、それで商売されるという点では、JASRACの言い分は良く分かります。
    (教育目的だから・・・というだけの視点はちょっと違うんじゃないかと私は思ってます)

    ただし、何でもかんでも自分(JASRAC)を通せという態度は前記の知り合いと意見は同様ですし(自分で作曲したBGMを流していた店で恫喝まがいの態度があったという話も・・・)、だいたい全権利者に払っているのか?売れている曲、大手音楽出版社だけじゃないかと疑ってます。

    今もあるか分かりませんが、放送局に対する包括契約なんて、よく考えてみれば権利者をバカにしているもので。
    まあ大昔なら「全部手書きの帳簿で手計算で大変だったから」という理由だったかもしれませんが、そのせいで埋もれてもらえなくなった権利者はたくさんいたはず。

    今は、いくつか管理団体もあるわけで、一回JASRACはバラして他の団体に振り分けて、1強という立ち位置を崩したほうがみんなのかもしれません。

    • こんにちは。
      貴重な体験談お寄せくださりありがとうございます。
      音楽の権利を守るための団体が、いつの間にか音楽利権を貪る団体になってしまった感は否めませんね。

      今は無くなってしまった放送局の包括契約ですが、市場流通をほとんどしない楽曲とかだと反ってこっちの方が美味しいと思っていた人はいるんじゃないかなと私は思います。
      というのも、昔地方局の番組のテーマソングの作詞を頼まれて作ったことがあって、私個人は美味しい思いをしたからです(^^;)
      当時、局側が印税もらえれるようにとJASRAC申請のお膳立てまでしてくださったこともあって、包括契約が終了するまで3ヶ月に一度くらいのペースで3万円くらいもらってました(15年以上前の話なので、かなり記憶が曖昧です。もらってる月や額に違いがあったらごめんなさい)全く市場に流通していないと言って過言でない楽曲だったので、その数万円はありがたかったです。ちなみに会社が個人契約して良いよとも言ってくれたので、会社公認で年間10万超えの印税が入ってくるのは本当に嬉しかったです。

      また音楽配信が始まってからというもの、何十万ダウンロードとかされても作詞家などに入る手取りは滅茶苦茶少なくなってしまいました。ちなみに着うたがめっちゃ流行っていた当時(今から10年くらい前)に知り合いで80万近くダウンロードされた楽曲の作詞家がいたので、「今めっちゃ儲かってるでしょ?」って聞いたら「全然そんなことないですよ、あんだけ売れて入ってきた印税は20万円なんですよ」って言われて、ひきました。昔であれば80万セールスであれば、作詞だけでも数千万円の印税があったのはずなのに……ほんのちょっとの時代の差で、天国と地獄ですよね。
      また、音楽配信によって権利収入が減ったのは作曲家や作詞家だけでなく、JASRACも同じなはずなので、それで躍起になってBGMとかイベント使用料とかに目くじら立てるようになっているはずですが、そこに目くじら立てた所で、得られる権利収入など結局たいしたことがないはずで、だから誰の為にもなっていないと思います。
      また、有料で音楽ダウンロードされてもらう権利収入よりも、youtubeの再生回数によって頂ける広告収入のが高くなるというアーティストも増えているのではなかろうかと思う次第です。
      このような市場環境の変化に合わせて、私もJASRACは一度解体するか、組織の縮小を図るべきではないかなと思います。

  • こんにちは

    他の記事でこれから既得権益との戦いと書かれてましたが、
    既得権益のタグがあるとおもしろいかもしれません。
    (貪ってるやつらにはおもしろくないですが)

    カスラックについては、
    校歌に対しても払うなんてバカげてますよね。
    お店は、雅楽や古典クラシックをかけまくればいいのではないでしょうか。
    品があっていいと思うのですけど。

    • こんにちは
      あぁぁぁなるほど!確かにフェーズはそうなるので、そのような記事をまとめておいた方が見て頂く方には便利かもしれないですね。
      ちょっと考えます(っていうより……他にも触らなきゃと思ってることがあるのに、全部置去り状態なんです(^^;))))

      ほんと、JASRACの銭ゲバっぷりには呆れますよ。
      USENを導入するお店も少なくなり、その影響もあって収入がた落ちなんだと思いますよ。

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