おはようございます。
火曜日は「変わる、終わる、始まる」です。
この「変わる、終わる、始まる」では、社会全体のトレンド(流行や趨勢・すうせい)に関する情報をお届けしています。
時代によって、インフラが変わり、またこの変化によって人の興味も変わります。
激動の時代と呼ばれる昨今の中で、立ち止まって全体を俯瞰できる情報をお届けしていきたいと思ってます。
また「変わる、終わる、始まる」も月曜日の「今日から使えるマーケティング講座」と同様、お仕事で利用して頂けたら嬉しいなと思っていますので、こちらも朝7時に更新していきます。
こちらも朝のお供として、是非活用してくださいませ♪
モータリーゼーション……馴染みがあるようで馴染みが無い言葉。
この言葉の説明は、かつて国民的大ブームとなった朝ドラ「あまちゃん」の大吉さんがあきちゃんに説明しているシーンがあるので、これをお借りしましょう。
ドラマでは、北三陸に来たばかりのあきちゃんに大吉さん(北三陸鉄道に勤務する駅長さん)が駅前を車で走りながら、あきちゃんに語りかけるシーンがあるのですが、それが一番簡単にモータリーゼーションを説明していると思います。
ではそのシーンに移りますね。
北三陸駅前の道を車で走りながら……
大吉さん「これがモータリーゼーションの実情よ」
あきちゃん「モータリーゼーション?」
大吉さん「車があれば電車など要らねって考え方な。」
これがモータリーゼーション。
本来モータリーゼーションとは、「自動車の大衆化現象」を指し示す言葉なのですが、その大衆化によって様々な社会現象が生み出されることとなり、その影響によって生み出された現象も「モータリーゼーション」と呼ばれます。
北三陸のように、今までだったら電車を使わずに遠くに行く方法がなかった庶民が、自動車に乗るようになると、電車を使わなくなります。
また、自動車が大衆化することによって、人の生活は便利になっただけでなく、活動範囲は大きく広がりました。
都会は逆に人が多すぎて電車の方が便利ということは多々あるのですが、田舎に行けば行くほど、そもそも駅に行くのが大変だったり、また電車の便も少ない事から、車の利便性が高まるようになってしまいます。
ですから、大吉さんのような発言に繋がって行きます。
また、モータリーゼーションの影響というのは、田舎の電車に限ったことだけではありません。
多くの人が車を使うようになるまでは、人の生活圏は主に徒歩に限られていたため、商店街で買い物をする人が沢山いました。
しかし、車を使うようになると徒歩圏内で買い物し続ける必要がなくなります。人々はできるだけ安く、品揃えの良い店に足を運ぶようになります。
この社会環境の変化によって発展したのが、大型ショッピングモールやスーパーと言えるでしょう。またこの影響を受けて、全国各地の商店街は窮地に陥り、シャッター商店街になってしまう場所が相次ぎました。
このように人々の行動範囲や行動パターンが変わることは、庶民の経済活動に大きな変化をもたらしていきます。
ちなみに、日本にモータリーゼーションの波が押し寄せたのは、敗戦から二十年経った昭和40年代頃からです。(資料では、東京オリンピック終了後からその契機が高まったと言われています。)
その頃から日本は、かつての経済の形から大きな変革が起きていき、大企業の力が強まるようになっていきました。一方で小規模産業は、崖っぷちに立たされることが、かれこれ半世紀に渡って続くようになりました。
モータリーゼーションが発展したこの半世紀。
車の大衆化によって、人々は便利を享受できるようになった反面、実は大いなる地域格差や事業規模による格差も生み出してしまいました。
この時代がもたらした格差については、少し前の記事や書籍で書きましたので、是非そちらもお読み下さい。
ただ、モータリーゼーションの時代だったと言える半世紀を過ごしたことで、世の中はさらに便利となり、ネット時代の恩恵を受けることによって、この半世紀…いや明治の開国から始まって150年の間、どうにもこうにも埋まらなかった地域格差及び事業規模格差による不公平が是正されるようになってきています。
たとえば、田舎の企業が作った商品と都会の企業が作った商品の場合、どちらで作った商品の方が話題になりやすいかと言われれば、ほんの10年前までは圧倒的に都会の企業に分があった言えます。
大手マスコミに取り上げてもらって、ようやく情報を流布できる時代はあらゆることにおいて、大企業や都会の企業が有利であったと言えます。
しかしながら、今は既に場所と時間に縛られない時代が始まっています。
田舎だから、都会だからという理由で起きる情報格差はもはやボーダレスとなっており、また手に入れられる物品においても地域格差は無くなっています。
それにネットのツールを利用すれば、個人でも商売していくこが楽にできますし、田舎と都会の差ももちろん感じにくくなっているどころか、田舎の方が固定経費を確実に抑えられるため、事業運用のメリットは高まっているという見方もできます。
たとえば農業や漁業。
かつての農業や漁業は、農協や漁協が地域の流通を行い、小売店に流れる形でしか商売できませんでした。しかし、ネットでいろんな人と繋がれる今の時代であれば、作った野菜や獲った魚を自分たちで販売することができます。
これは6次産業(一次産業が、二次産業と三次産業を兼ねる考え方)と呼ばれるものですが、このようなアイディアと工夫で、一度は衰退しかかった事業に蘇るチャンスが増えています。
また大きなものに属さなくては生きていけないと思ってしまいがちな環境が、この半世紀続いていましたが、今はもうそんな時代ではありません。
先日の記事で書きましたが、家庭にいながらにして、普通に稼げることだって増えています。
つまり、格差によって起きてしまった弱肉強食の時代が終わりを告げたと言えます。
そしてこれからは、格差是正によって、それぞれがそれぞれのペースでそれぞれの規模が守られた上で仕事がしやすくなっていくでしょう。
ほんの少し前なら、小さいな商いは大企業の威力に太刀打ちできなかったのに、小さな商いを目指す人は目指す人でその市場環境が確保されているというのは、とても有難いことなのではないのかなと思います。
また、ここ数年のテレビ番組の傾向を見ていると、「ポツンと一軒家」に代表されるように、田舎で悠々自適に人生を謳歌している人への興味が高まっています。
これは、田舎のプライオリティが高まっている証と言えるでしょう。
高度成長期に沸いた時代、そしてバブル時代に、このような番組が作られ興味が引いたとはとても思えません。
少し前の時代は誰もが都会に興味を持ち、そして都会に憧れ、都会のような生活を望んでいたのに、その興味が真逆と言えるものに変化しつつあるのです。
このような点からも、一極集中でなんでも都会だけに集まっていた時代が終わりを告げ、新たな時代が始まっていることを感じさせられます。
ということで、今日のお話はここまで!
来週は「変わる印税の形」と題してお届けしたいと思います。
それでは来週火曜日の7時にまたお会いしましょう♪
それから「変わる、終わる、始まる」の過去記事が読みたい場合は、TOPの「曜日企画」→「㊋変わる、終わる、始まる」を押して下さい。
今までの過去記事が見れます。
View Comments
竹久さんこんにちは。
いつもありがとうございます。
記事を読ませていただき、こちらのことを思い出しました。
https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/20508200.html
(トヨタのサイトにリンクします。失礼でしたら消去してください)
3Dプリンタ×車で場所にとらわれない商工業も可能ということを
トヨタは考えているということのようです。
まさに車が変える未来ですね。
ドラえもんの世界ってあながち間違っていないのではと思いました。
こんにちは!
この車、オリンピックで走るバスですよね。
この原形となるものは、かれこれ14年前になる愛地球博でテストされて、少しずつ実用化できるように頑張っているみたいです。
昔、プリウスが初めて発売された広告が手塚治虫さんが起用されていたのを覚えていらっしゃいますでしょうか。
キャッチコピーが「あなたが空想した車です。21世紀に間に合いました。」でした。
多分なのですが、ドラえもんや手塚治虫さんなどの漫画家のアイディアを実現化しようと思って頑張っている所は昔からあるのかなぁなんて思ったりしています。
それから実はジブリもトヨタ自動車の中にスタジオを持っていた事があります。
当時うちの親は、宮崎監督の事を「たまに会社で見かける風変わりの爺さん」と言っておりました。
https://ameblo.jp/yuriyuriko28/entry-11250301028.html
ということで、アニメとトヨタって意外と親和性が高いかもなぁって思ってます。
それではこれからも宜しくお願い致します。