現在BSNHKにて再放送中の「おしん」の脚本がヤバすぎて震えているので記事にしています。
連載中なので、できれば最初の記事から読んでね♪
先ほどの記事でもやたらと「戦争はダメだ!」と繰り返す、おしんの台詞に意義申し立てたのですが、
なんでこういうことを言うかというと、そもそもこういう反戦主義って戦後始まったものなんですよ。
戦後の時代を書く時に、このような言葉が溢れるのは事実なのだから、それだったら私は許します。
でも、時代的にあり得ないだろうという思考と言葉をドラマの中で繰り返すということは、多くの視聴者に誤った歴史認識を植え付けることになります。
だから「おかしい」と伝えています。
先ほどの記事にも書きましたが日露戦争の勝利というのは、「有色人種が白人に勝った歴史的な一戦」なんです。
第1部 3章 日露戦争(3/4)日露戦争の勝利がどれだけ世界に衝撃を与えたのか
戦争が始まる前や203高地での戦略が上手く行かなかった時は、その不安さから軍部に対して批判的な思いを抱えた国民は沢山いました。
しかし、203高地を勝利し旅順を攻落させ、そして日本海海戦による勝利によって国民の反応は一変したのです。児玉源太郎将軍について書かれた本や日露戦争関連の本にはこの変化がよく書かれています。兵士が日本に戻ってきた時の歓迎ぶりは凄かったとのことです。こちらが事実でしょう。
また、白人の脅威を蹴散らさなくては生きていけない時代の最中で「平和のために戦争はしてはいけない」なんて歯の浮いた台詞を言う人は、この頃はまだいなかっただろうと思いますし、「平和のために戦争はしてはいけない」なんて思えるのは、第二次世界大戦で私たちが負けて敗戦国家となったからだと思います。
つまり、明治の開国から常勝を続けていた日本の中で、中村雅俊さん(俊作役)の台詞は時代考証的に不気味なのです。
この頃の日本は、反戦主義でも軍国主義でもないのです。
ちなみに軍国主義という概念もこの頃の日本にはないはずなのですが、「おしん」の世界観の中にある明治は、既に軍国主義とも言いたげな言動が横行するのです。これも不気味です。
おしんのドラマの中には、先の記事でも書いた通り「マルクス・レーニン主義そのものではないか?」と思わせる長台詞が散見されるのですが、これは時代考証的に完全に落ち度としか言いようがないものです。
この時代(明治末期)、確かに都会では社会主義思想が広がり始めたであろう時期と重なりますが、これは都会に限っての話です。
いわゆるインテリ層と庶民との間では、考え方に大きな相違が生まれつつありました。それは西洋列強と肩を並べるために必死にならざるを得なかった環境が起因しています。
エリートたちは、日本が西洋のような産業国家にならない限り、西洋の植民地にさせられてしまうという恐怖にもの凄く縛られていたそうです。そのため、彼らは日本の伝統文化と自分を断絶させて、また、自分たちの国の歴史はどのようなものか、民族性はどのようなものかという一番大事なはずのことを見向きもせずに、ただひたすら西洋のものだけを吸収していく努力ばかりをしてしまいました。急務に迫られた焦りが、彼らの余裕を失わせてしまったのでしょう。そして、自分たちの民族性と比較した上で取り入れるべきものも、そのまま模倣してしまったがために、また現在においてもそれが続いているために、長期に渡っての思想の混乱がこの国で続いてしまっているように思います。
この頃都会のエリートの間で広がり始めたのが、社会主義思想なのですが、社会主義思想と共産主義思想は似て非なるものなのですね。
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それを混同しているとしか思えない役者の台詞には、甚だ疑問を覚えますし、というかそもそもあの田舎で、しかも脱走兵が社会主義思想というよりも共産主義思想を持ち合せていることが設定上無理があると思います。
また、共産主義の団体がソ連で生まれるのもここから10年後くらいの話ですから、この時代に反戦主義的で平和活動家みたいな思想そのものが存在していないんですよ。
しかも、俊作役の中村雅俊さんは、突然憲兵に殺されるという衝撃的な事件でこの世を去るのですが……これもどう考えてもあり得ないことなんですよね。
↓俊作?誰それ?と思った方はこちらを……↓
この憲兵の行動について、識者たちはこのように語っています。
渡部昇一「特に公共放送の偏向がはなはだしいことで、中村さんは毎号「正論」という雑誌でNHKウォッチングに書いていらっしゃいますが、面白い話はありますか?」
中村「まあ、いろいろありますねえ。NHKスペシャルとか、ドラマがひどいですね。ニュースもそうですね」
渡部「僕はドラマでは、前から気がついていたことがありました。それは、ドラマで戦前の情景が出てくると、善玉は確実に左翼なんですよ。そして悪人は全部軍人なんですよ。ま、左翼にも立派な人がいたでしょうけども、あの人たちが主張したことをそのまま日本がやっておれば、スターリンのソ連か、金日成の北朝鮮か、毛沢東の中国になるはずですよ。戦前の左翼、共産党そのシンパ(註:その一味)の通りにしたら、日本はとてつもなく不幸な国になっていたはずですよ。立派なドラマ「おしん」ですらも、いい人は左翼、悪い人は軍人になっちゃうんですね(笑)」中村「今先生がいみじくもおっしゃったおしんがそうですね。あの中で旅順かなんかを脱走した兵隊が射殺されるという場面が出てくる」
渡部「あれ、山形県の山奥に逃げるんです」
中村「あ、そうですか」
渡部「ええ。そして山の中でおしんに字なんか教えるんです。で、僕がおかしいと思ったのはですね、日露戦争というのは、まる一年あったかないかの戦争でしょ」
中村「ええ」
渡部「あの当時、満州ですね、戦場から逃げて、海を渡ってですよ、逃げて山形県の山奥にどうして行けるのかね。こりゃ、天狗さまじゃなかろうかと・・・(大笑い)」
中村「第一ね。脱走兵を軍が射殺することはなかったんですね、日本では。つまり、軍を脱走しても、処刑されるのは、将校が敵前逃亡した場合ですな、規則で。将校が平時に脱走しても、官位剥奪か、重営倉ぐらいですな。まして、一兵卒だったら、そんなこと決してありえない」
おしんで描かれているあの憲兵のシーンは、第二次世界大戦中のドラマでよく描かれる特高警察の横暴さに似ているなと私は思いました。
ちなみに第二次世界大戦中に特高警察が取り締まったのは、普通の民間人じゃなくて、主にソ連の息のかかった共産主義者たちです。日本のドラマではあくまでそういう人は民間人というような形で描かれますが、本気でこの人たちやばかったんですよ。
また、「日本の軍国主義は悪夢」という言葉が現代は横行してますが、日本の軍国主義は超一時的なものです。しかも、この一時的だけど超最悪な軍国主義を作り上げたのは、何を隠そう「戦争反対!軍国主義超反対!」を掲げる共産主義者(コミンテルン)だったのです。
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そして、戦後の日本ははっきり言って共産主義パラダイスです。
戦後のGHQ統治で公職追放された真っ当な日本人の方がどれほどまでに多かったのか、その事実がこの日本で語られることはまずありません。
にもかかわらず、戦時中にレッドーパージされた共産主義者たちのことは必ずお涙頂戴的に語られるのが、現代の日本です。
事実に気がつけば気がつくほど、おかしい過ぎる設定の上にあるのが「おしん」です。
先の記事で書きましたが、あの時代、奉公先で「シンデレラ」さながらのいじめにあうことは万分の確率と言えるほど珍しいことのはずだと私は思っています。
さらには奉公先から逃げて実家に帰ろうとするおしんが山形の山奥で隠れている日露戦争の脱走兵に会うことなど、奇跡以上の確率でしょう。
それが合わさった上で、作り上げられるドラマというのは、バブルの時代に流行った「トレンディドラマ」並に、視聴者の願望を叶えるために作り上げたフィクションと言えると思います。
ただ問題なのは、トレンディドラマの「ありえねー」は多くの人がすぐに気がつき、分かった上で楽しめるけれど、歴史ドラマの場合はそれと同等の「ありえねー」が蔓延っていても、それがフィクションだと気がつかず事実であると認識してしまう所にあります。もちろん世の中のことを知らない子供の方がガチで信じてしまいやすいですから、時代考証が滅茶苦茶なドラマや映画や小説や漫画を子供が観るのは良くないですよね……。
ちなみに私は小学生の頃、W浅野が主演してた「抱きしめたい」が好きだったのですが、当時はトレンディドラマがフィクションだと気がつかず、東京に行ったらあんな素敵な暮らしができるのだと思い込んでました。
東京に行けば、OLで一人暮らしであっても、屋上にはジャグジープールがある数LDKのマンションに住み、最新の家電やお洒落なインテリアに囲まれて生活できるものだと思い込んでしまいました。
そんなことは現実的にあり得ないということに気がつくのに、どれほど時間がかかったでしょう。またそのコンプレックスから放たれるのに、どれほど時間がかかったかでしょう。つまり、ドラマを事実だと思い込むと、後々苦労するのです。
どう考えたって「ありえない」のオンパレードであったトレンディドラマでさえ、それが事実としてしまった思い込みから抜けるのに大変なのですから、歴史ドラマでそう思ってしまった時のヤバさたるや、その比較レベルではないということは言わずもがなでしょう。
だから、ヤバイなと思って毎日見届けているのです。
すみません……まだまだ話したいことがあるので、続きます。
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