※こちらは、以前私がアダルトチルドレン(現在の自分の生きづらさが親との関係に起因すると認めた人)の問題に向き合っていた時に書いた内容を掲出しています。できれば最初からお読み頂ければと思います。→0.はじめに
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アダルトチルドレンは国民病?!
第五章 アダチル連鎖を断ち切るために
ここまで読み終えたのに、先の二項目を読んでがっかりした人もいるんじゃないかなって思っています。
きっとこの本を読む方は、親に対して好きになれない感情を抱えていて、そしてそれを乗り越えるHow toを期待されていたはずなのに、その期待を裏切るかのように、「好きになれないままでいいから、許せるように」と言われたら、「何の為にここまで読み進めてきたのか」と思う人がいても当然だろうと思います。
ここまでそのような期待をして読み進めてくださった方には本当に申し訳ないことをしました。
しかしながら、そのHow toにのめり込むことが、本質的な問題点を考察する審美眼を鈍らせて、問題を大きくしているということを、どうか改めて認識してください。
そして、今私たちそれぞれが抱えているアダチル問題は、私たちそれぞれの家庭だけの問題ではなく、社会のしくみが生み出してしまった歪みであるということをもう一度思い出してください。
私たちは確かに辛い思いをしました。
その経験によって、自己肯定感が育まれず、誰かの言葉によって自分を認めてもらわなければ不安な心持ちのまま大人となり、そして日々を重ね続けました。
お金を得て、名誉を得て、有名になれば、誰かに認めてもらえるかもしれないと思いがむしゃらになってみたら、もっと空虚な心に支配されるようになってしまいました。
一人前になると言われるアイテム(就職、結婚、出産など)を得て、それを経験したら大人になれるはずだと思っていたのに、そんなアイテムを得た所で、なんら大人になれやしないということに気がついて、愕然としました。
大人たちが言う「あれが幸せ」、「こうしたら幸せ」、「そうすれば成功」の言葉に踊らされて頑張ってみたけれど、その言葉の先にその宝は落ちていませんでした。
だから、私たちは辛くて不幸せです。
だけれども、そこで私たちより先に産まれた人たちを呪ってみたり、敵対してみたりしたところで、同じ事を繰り返すだけになります。
次の世代にも、同じような不幸せを味合わせたいですか?
私は、これから大人になる子供たちには、二度とこのような苦しい思いを抱えて彷徨う大人になってほしくないと思っています。
そうは言っても、日本の教育体制は揺るぎなく過去を引き継いでいるし、マスメディアも戦後体制を維持したくて頑張っています。
こんな現状であれば、同じような苦しみを味合わざるを得ない子供たちはまだまだ沢山いるでしょう。
しかし、今日から私たちが変われば、未来はどうなるかは分かりません。
結局、私たちができることはただ一つです。
自分を変えて、この連鎖を止めること。ただそれだけです。
親に対して不遇感を拭えない気持ちを抱えている人は沢山いると思います。
ただ、私たちの国の歴史を見つめると、この症状は致し方ないこととも思えます。
その上で、これから私たちが何ができるのか、真摯に考え行動することしか、私たちに残された道はないと思います。
それは、無理にでも親と仲良くすることではないと私は思っています。
親と適切な距離が保てる人はその上で、親に感謝ができる心持ちを醸成し、そして一時の付き合いを大切にしていくことだと思っています。
そして、最も重要なことは、今育まれている子供たちが同じような苦い思いをせずに、自分らしく生きる土壌を与えてあげることだと思います。
このような言い方をすると、現代人は学習施設を増設するなどという方策に頭が行きがちですが、そうではありません。
あなたが、今ある環境の中で、子供にどんな背中を見せられるかそれだけだと思います。
子供は、大人の表と裏をきちんと観察できています。顔色を伺い判断を見極め、背中を真似するだけのことしかしていません。
私たちを形成している思考も同じような形でできています。
ですから、私たちがするべきことは、子供たちに顔色を伺わせずに、ただ背中を見せることただそれだけだと思います。
そのために、私たちは戦後社会が作り上げた思考回路からとにかく脱出することが、何より大事な任務だと思うのです。