4-4.Whyを意識しなければ、問題など解決しません

※こちらは、以前私がアダルトチルドレン(現在の自分の生きづらさが親との関係に起因すると認めた人)の問題に向き合っていた時に書いた内容を掲出しています。できれば最初からお読み頂ければと思います。→0.はじめに

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アダルトチルドレンは国民病?!

第四章 デュープスと二元論とアダルトチルドレン

 

4-4.Whyを意識しなければ、問題など解決しません

先の項目でも申し上げた通り、私たちは「考えること」=「手段や方法を探すこと」と思い違いをしています。

確かに「手段や方法を探すこと」も考えるこの一つでありますが、これだけでは問題が生まれた要因を探ることはできません。

本当に問題解決をするべき時に必要なのは、まず「なぜ?(Why)」を見定めることです。そのために4W「What,When,Who,Where」も駆使して全体を俯瞰しながら問題の要因を探る必要性があります。

その上で出てきた原因に沿った解決の手段のために「How」を用いるのですが、私たちの生活習慣はいつも「Why」の思考性が抜け落ちて、いきなり「How」を用いてしまいます。だから、根本的な問題解決はされないままに、ルールや方法だけが増えていく現象を作り出しています。

日本の書店ではありとあらゆる「How to本」が売られていますが、それも二元論的価値観の中で育まれ固定された「答え」が既に個々の中で定着しているからでしょう。そのため、現代人は「どうして?(How)」ばかりに目がいく感覚ばかりが強化されてしまっているのでしょう。

自分で考え、試し、実践してみる経験の蓄積によって、人は考える能力を拡大することができるのですが、多くの人は「How to」の中にある答えを模倣することでより良い生活がもたらされると勘違いしてしまっています。これは、十二年間の学習期間の時間のほとんどを覚える行為に費やしてしまった結果の産物とも言えると思います。

だから、世の中は問題が溢れるばかりで、解決の兆しが見えないことになっているのではないかと私は考えます。そして「How to」を求めるからこそ、今ある枠組みの中で答えを探すことしかできなくなるのだと思います。

だからこそ、戦後社会の歪さに目を向けることなく、この状態が正しいという思い込みが強化された上での改善案しか出されなくなるのです。

第三章で、「学校の枠組みが間違っていたという考え方は日本のメインストリームメディアでは見られない」という意見を伝えましたが、こうなってしまうのも、枠組みに対する疑問を持ち合わせなくする二元論が強化されてしまった世界の中で生きているからではないのでしょうか。

そして、問題の根源となっているものが何なのかまで考えが及ばなくなってしまっているのではないのでしょうか。

そして、国内の政策においても、この枠組みを維持することばかりに目が向いているからこそ、本質的な問題解決がされることなく、ルールにルールを塗り重ねて、国民がどんどん雁字搦めになってしまっているのではないかと思います。

そして、その雁字搦めによる窮屈さや閉塞感に、多くの国民は不満を感じているのではないかと思います。

 

少し話は変わりますが、経産省が発表している「人材力強化に向けた研究会報告書」を昨年読ませて頂いたのですが、その時に私は同様の思いを抱えました。

昨今の日本は少子高齢化に伴い労働力不足が問題視されています。また、30代、40代の働き世代が働く意欲を失い、引きこもりやニートになっているケースも多く、それがさらなる労働力低下を生み出す要因になっています。

このような状況下になってしまったがために国としても対応が必要と言うことで、先の報告書が生まれたのですが、これを読んだ事で「なぜ日本はいつまで経っても本質的な問題解決ができないのか」がよく分かりました。

この報告書の根底にある本音は、「既に人材不足に陥っている中小企業のために、使い勝手の良い人材を国の政策として育てなきゃいけない」というものだと、私は理解しました。

中業企業が望む人材とは、無理強いな働き方をさせても文句も言わず、テキパキと仕事をこなし、明るく前向きに頑張ってくれる人の事だと思います。

その目標に向かって「こういう学びを取り入れたら、良い人材が増えるだろう、良い労働力になるだろう」というような、机上の空論を軸にした理想的ロードマップが書き綴られていましたので、私は「国の中枢にいる官僚たちも、二元論が強化された世界観の中に生きているのだな」と大いに感じることになりました。

経済というのは、他国からこの国を守る基礎となるものですから、軽視をすることはできません。また経済が効率的な潤滑するための優秀な人材を確保したい国や企業の気持ちは分からなくもないです。

ただし、ここにおいて大いなる問題点が三つあります。

それは

①今私たちが直面している問題の原因について全く直視している様子がなかいこと

②今ある問題の本質的原因を探ることせずに、目標に沿ったHow toばかりが書き連ねられていること

③枠組みに問題があるこそ、問題が吹き出しているのに、あくまで今の枠組みを維持することを目的とし、さらにそこに執着していること

本質的な問題点を見ないままに、ただただ自分たちが望む労働力の確保が目標に据え置かれているのは、大変なご都合主義だなと思ったし、また今の日本を象徴しているなとも思いました。

なぜ良い人材が生まれなくなっているのか、どうしてみんな働きたくなくなっているのか、この理由について分析している部分はどこにもないのです。

そして、根本的な原因究明を遠ざけながら、「あぁしたら良い人材が生まれる」、「こうすれば働きやすくなる」といった具合で、目標に到達する手法させ取り入れれば、問題は解決すると思い込んでいる節が強くあると感じました。

結局これでは何の問題解決には至らないのですが、私たちの身の回りに溢れる対策というのは、全部このような形で行われているように思います。しかも、時代として無理が出てきている枠組みを維持・保持しようとしているのですから、返って問題を増やす行為になっているとも言えます。

たとえば、昨今の小中学校では心の不安定な子供が増えたということで、スクールカウンセラーの設置が盛んに行われています。

本来であればどうして「心が不安定な子供が増えているのか?」ということに実直に向き合い、今の社会体制の枠を超えて問題の深掘りをしていく必要があるはずです。しかしながら、今の枠の中で早急な解決を求めようとするから、海外の成果などを引き合いに安パイなHow toや新たなルールを取り入れることによって解決したと思い込んでしまいます。

ただしそれでは、根本的な問題解決は絶対にされないがために、さらなるHow toやルー-ルが必要になるという繰り返しをしているのだと思います。

これはアダルトチルドレンの問題にも同じことが言えます。根本的な原因となっている理由を直視しない限り、問題など解決されません。しかし、今の日本人はそれがあまりに苦手になってしまったのか、そこに目を向けなければ問題が解決されないという根本的なことを忘れてしまったのだと思います。

その要因に、二元論で確立されてしまった思考性と世界観があるのです。

takehisayuriko

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