木曜日は「物語の時間で~すよ♪」ということで、私が書いた小説をお届けしています。

この作品は2017年3月頃に書いた作品です。

当時瞑想とかしたりするとこの作品に書いた映像が浮かんでしまいまして……そしてそれが日常生活でも消えない状況になってしまったので、浮かんでしまった映像をそのまま文章化した作品です。

どうぞお楽しみください。

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目次

19 灰色の大蛇

 

彗星から地球に伸びていく白い筋は、大蛇のようにどんどん太くなっていった。その筋の中には、土砂や大きな岩が沢山入っていて、それがそのまま青い星に向かって行く。

 

するすると蛇行しながら地球に向かっていた白い筋は、いよいよ地球と繋がった。

 

大気が地球に突入すると、大きな爆発が起きた。大気の中にあった土砂が空気摩擦で爆発したのだろう。一発目の閃光の後、あっという間に数えきれないほどの閃光で地球は包まれた。大気は蛇が地球にまとわりつくようにグルグル回ってる。

 

船内に映し出される地球内部は、土砂と隕石が空から地上めがけて落ち続けている。それが落ちる衝撃で、大地震も頻繁に起こっている。更に雨とは言えないバケツをひっくり返したような洪水も一緒に起こっている。

 

もはや直視するでさえ、酷としか言いようがない悲惨な映像が船内に流れ続けた。

 

それでも映像に映し出されるムーの人たちは、穏やかだった。精神統一で心を光らせ、その状態で生涯を全うしようとしていた。映像の中には、友人たちの姿も映った。彼らは「どうかこれからの地球のために、この経験が未来に役立つように」と唱え続けていた。

 

東と西にある避難所の様子も映し出された。グウワ達が避難している西の避難所は、フィールドレイクによるバリアが大気との境ギリギリの高度で設定したのが功を奏したのか、空のかなり上の方で土砂が爆発し、それがバリアに跳ね返って、砂のような状態で優しく降っていた。

 

ただし、グウワの家族などが映像で映し出されることはなかった。グウワ達は無事なのだろうか……。

 

一方、東の避難所は、標高の高い場所に設置したことが仇になったのか、ムー都市部よりも激しい洪水を受ける状況になっていた。その光景は最も心を痛めつけるものだった。

 

ライブ中継されていた地球の映像は100箇所以上あったが、洪水が激しくになるにつれて映らない地域が増えていき、私とグウワが今日遊びに行っていたムーの広場が完全に水に埋もれたのを境に、全ての映像が映らなくなった。

 

「せめて西の避難所だけでも無事であればいいのだが……」

 

父は祈るような声で呟いていた。

 

私たちが見ることができるのは、目の前にある地球だけになった。彗星を覆っていた雲のほとんどは地球に移り、青い星は灰色に変わっていた。灰色の大気内では閃光が引き続き起きている。雲の下様子はもう誰も分からない。

 

 

つづく

 

つづきは来週木曜日に公開です。

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takehisayuriko

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