木曜日は「物語の時間で~すよ♪」ということで、私が書いた小説をお届けしています。
この作品は2017年3月頃に書いた作品です。
当時瞑想とかしたりするとこの作品に書いた映像が浮かんでしまいまして……そしてそれが日常生活でも消えない状況になってしまったので、浮かんでしまった映像をそのまま文章化した作品です。
どうぞお楽しみください。
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目次
スジャナティは何度も言い続けた。
「この星を、宇宙を守りたいと思うのなら、生き延びてください!いや、生き延びろ!」
しかし、多くの民はこの声に賛同しなかった。
「だったら、その彗星の軌道を変えることはできないのか?アトランティスや他星の人々の協力でなんとかできるのではないか?」
その指摘はごもっともだと長老のスジャナティはゆっくりと頷いた。
「私たちもそうしたいのだが……残念ながらできないのだ。あの彗星は完全に異星人のコントロール化に入っている。アトランティスの星学家や友好星の星学家とも何度もコンタクトを取り相談し合ったが、今回この彗星の衝突を避けることはできない」
「では、なんとか地球を木端微塵にするようにする方法を考えた方がいいのではないか、どうしてそれができないんだ?」
「それは可能性の問題だ。あの大きさの彗星が直接衝突すれば、地球は木端微塵になるだろう。だけれども、そうはならないように、異星人たちはあの彗星を選んでこちらに向かわせている。なぜなのか分析したところ、あの彗星には大量の水分があることが分かった。水分を含んでいる彗星がこの近くまで来た時どうなるだろうか」
民はぽかんとした顔をして、スジャナティの発言を待つ。
「彗星の軌道を見ている限り、この彗星は太陽すれすれの場所を通った上で地球に辿り着くことになっている。太陽の傍を彗星が通れば、彗星に存在する水分が蒸発することは明らかだ。その状態で彗星が地球に近づけば、雨と表現することのできない洪水や土砂が天から一気に降って来ることになるだろう。彗星の中にある大量の水分が地球に移行したら、多くの陸は海の中に沈むはずだ。」
スジャナティは大きく深呼吸をして話を続ける。
「ただし……もしもそうなったとしても、さらに彗星が地球に接近し、衝突してくれるなら、それでいい。地球は木端微塵になる。しかし、水分がなくなった彗星はとても軽くなって、引力の抵抗が薄まると予測する。あの彗星は大量の水分と土砂を地球に注ぎ込んだ後、地球の近くに留まるのではないかと私たちは予測している」
民はざわめいた。
スジャナティが予測した通りになった場合の事態は、さらに深刻だ。地球が暗黒化してしまったのなら、それは地球だけの問題で済まされることではないのだ。
この銀河の中に存在する全てのものは、素粒子の回転によって生まれている。その回転の仕方によって、土地の軽やかさや民の意識が決定していく。そして、地球に存在する個々の素粒子の回転によって、地球全体の波動が生まれていく。そして地球の波動は、銀河全体に影響を及ぼしていく。
スジャナティやオノポリオンも、ただ地球が木端微塵になるだけなら、こんなに心は動揺しなかったはずだ。
一瞬の衝撃は莫大なもののはずだが、悠久に流れる宇宙の波動は、地球の衝撃を吸収し、何事もなかったようにまた穏やかな日々が生まれるだろう。覚悟を決めて、地球最後の時間を謳歌するように国民を促したはずだ。
しかし、地球の暗黒化は地球だけの問題で済まされることではないのだ。地球で生まれる暗黒の波動は、銀河全体に影響を与え、太陽系だけでなく、他の銀河にも苦しみを生み出してしまうのだ。全ては素粒子の回転によって、物が生み出され、現実が生み出されていく。その回転は必ず外部に影響を与えてしまうのだ。
地球が木端微塵になることなく、ギリギリのところでこの衝撃を吸収し、星の生命を残したのなら、その波動は永続的に宇宙の隅々に影響を与えてしまう事になる。そうなれば、今北極にやってきている異星人たちの思うつぼだ。
「ムーが七日後、海の中に沈むのは間違いない。まずは、高台に避難所を作り、賛同できる国民はそこに移るように」
スジャナティは勇ましく言い放ち、一旦国民との会話を終了した。
ムーの国土は、全体的に低い土地であったが、国境線となる場所は、円で描くように高い山が並んでいた。その山たちがフィールドレイクとして機能し、国境を作っていた。その高地に、幾つか避難所を設置することが決まった。
避難所として有効な高地の多くは国土の東と西にあったので、避難所の多くは東と西で作られることになった。西は森林地帯で東は植物が育ちにくいほどの高地だった。
つづく
つづきは来週木曜日に公開です。
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