おはようございます。
火曜日は「変わる、終わる、始まる」です。
この「変わる、終わる、始まる」では、社会全体のトレンド(流行や趨勢・すうせい)に関する情報をお届けしています。
時代によって、インフラが変わり、またこの変化によって人の興味も変わります。
激動の時代と呼ばれる昨今の中で、立ち止まって全体を俯瞰できる情報をお届けしていきたいと思ってます。
また「変わる、終わる、始まる」も月曜日の「今日から使えるマーケティング講座」と同様、お仕事で利用して頂けたら嬉しいなと思っていますので、こちらも朝7時に更新していきます。
こちらも朝のお供として、是非活用してくださいませ♪
先週火曜日の記事で、広告業界が様変わりしていることをお伝えしました。
広告流通の形、そしてそれに伴い広告業界のビジネスモデルが変化していくことは、何より今まで安定を築き上げていた場所において、混乱うごめく大打撃を与えることになります。
広告業界の変容を私が本格的に実感できたのはここ最近のことでしたが、社会全体のトレンドの波は以前から感じておりまして、このような記事。(下記参照↓)を書いたこともあります。
しかし、ネットという新たな媒体が力をつけていけばつけていくほど、テレビCMが消費行動に及ぼす力は軽減していきます。
メーカーも代理店も新たな広告媒体を探すように、出稿先がネットへと、その比重が年々高まるようになってきましたが、ネットの広告料はテレビのCM料金と比べればどれもこれも破格に安く感じる値段設定の上で運用されています。だから、この情報流通の変化によって、一番最初に打撃を受けた情報支配層は、広告代理店の面々でしょう。
広告代理店は今やどこもかしこも不況に陥っています。あの天下の電通であっても同じ事。
あんなに世の中を影で支配していたはずの電通の力が情報流通の変化と市場価格の変化によって、見事のまでに力を失っています。
これは去年の6月頃(2018年6月)に書いた記事で、凡その分析は間違っていないと今も思っていますが、この文面で出てきた電通に関しての分析は間違っていたと言うしかないなということが、先週の記事を書いている時点で分かってきました。
いやはや、いやはや、正直私が一番驚いているのは、業界不況と言われている中においても、電通伸び盛りの事実です。
シンアド転職さんに掲出されていた広告代理店の売上ランキングを引用させて頂きます。
広告代理店 最新売上高ランキング(2019年4月更新)
電通が1位であることは変わりないだろうなと思っていたのですが……かれこれ20年前と比べてみると驚くべきことが明らかとなりました。
2000年の売上高ランキング
かれこれ20年前ブイブイ言わせていた、広告代理店の多くが憂き目にあっていることはこのランキングに現れる会社名の違いで明らかなことです。
また、20年前はベンチャー企業の一つに過ぎなかったサイバーエージェントが業界TOP3に入ることなど、誰も考えもしないことでした。
大局的に見れば広告業界に大いなる変容が起きていることは明らかなのですが、TOP1&2の君臨ぶりは、20年前と変わっていません。
さらに言えば、当時以上に電通&博報堂は売上が伸びていたのですね。
伸びていたと言うよりは、横ばいな感じと表現した方が適切なのかもしれませんが、それは大手だから横ばいに見えるだけで、金額としては1000億も増えています。
これは本当にびっくりでした。
私は勝手に、電通の経済状況もすっかりヤバいと思い込んでいたのですから。
電通が落ち目ではなく、まだ上り調子の理由は、電通のHPに書かれてました。
海外展開をこの所盛んにしているようです。
地域別売上総利益の推移
- ※2013年、2014年は財務報告(国内4-3月+海外1-12月)ベース。2015年以降は国内外とも暦年(1-12月)ベースです。)2013年はJGAAP、2014年以降はIFRSベースです。
- ※EMEAは欧州・中東・アフリカ、Americasは米州、APACは日本を除くアジア太平洋です。
日本の広告収益は横ばいでありながらも、アメリカ、ヨーロッパ、そしてアジアでの収益を拡大していたからこそ、全体の売上としては20年前と比べて変わらない感じに戻ってきたのかなと思います。
またこのグラフでは2013年からしか出ていないので2000年頃との比較はできないのですが、2000年頃の電通は、どう考えても2013年の時よりも海外売上が低かったはずであろうと思われますから、2000年頃の売上は主に国内の売上だったと推察できるでしょう。
ですから、現在の電通の国内売り上げは当時と思うと、半分くらいには減っているとみて良いのではないかなと思います。
そのため国内事情だけを見ていると、電通は崖っぷちに見えていたのは間違いないと思うのですが、違う場所でお金を稼ぎはじめていたのですね。
そして……気が付かないうちに電通は、真のグローバル企業となっていたのですね。
とりあえず国内の広告産業においては、以前と比べて収益が見込めない状況になっていることは見えてきました。
ただ、そうは言えども電通さんの売上は王者と呼ぶに相応しいものがあるのですが……これって、本当の広告収入と言えるものなのでしょうか?
ほとんどは利権によって得たものではなかろうかと、私は思ってます。
例えばオリンピックの放映権収入とかね。
電通は、オリンピックやサッカーワールドカップ、それから現在行われているラクビ―ワールドカップなどの、スポーツの祭典に関する放映権を牛耳り、さらにこのようなイベントのスポンサーシップ販売権を持っています。
Advertising and marketing giant will have a substantial package of official sponsor and supplier rights for the RWC in Japan. Dentsu acquires Rugby World Cup 2019 sponsorship sales rights - |
広告収入というよりは、このような販売利権によって現在の地位が出来上がっているのではなかろうかと、推察しています。
それから、上記に添付した立花さんの動画を見るまで、NHKですら電通にお金を払っているとは、私は思ってもいませんでした。
勝手にNHKは独自のルートがあって放映していると思っていたのですが、全ての放映権は電通が持っており、その放映権をNHKが買っているのですね。
この利権構図はものすごくムダ金の流通のように思えて仕方ありませんが、これによって電通が幅を利かせているのも事実です。
そして、電通から見れば、一企業の広告を得るよりも、このような国際イベントの利権を手中に収めた方が、企業収益として効率的な上に合理的とも言えますよね。
だからこそ、彼らは業界の変容などどこ吹く風の状態でいられるのでしょうし、メディア全体を牛耳る権力を持ち合わせ続けているのでしょうが……電通は広告代理店と言うよりは、既に広告利権屋になっていたのだなと、改めて知りました。
この利権屋の手中で、また牛耳られていると言っても過言ではない状況は今後どれほど続くのでしょうね。
利権屋が蔓延り、崇高な思いがあって始まったイベントが単なるビジネスになっていき、そして銭ゲバ感が蔓延ることによって、イベントが台無しになることはよくあることです。
現代のオリンピックになんて、まさにそうと言えますよね。
この利権屋のほころびがどこから生まれるのか、今は分かりませんが(すみません…)、もう少し調べて、そのきっかけや糸口を掴んでみたいと思ってます。
「広告流通変化でどうなる?電通!」と題してお送りしましたが、
答えは、
電通は世界の利権屋に変貌していた!
と言えるでしょう。
かれこれ6年前苫米地英人さんがこの本を書いた時、広告業界に身を置いていた私はこの事実がショック他ならなかったのですが、電通の権力は充分知っていたので、瓦解されるように祈ってきました。
残念ながら、彼らは違う形で新たな権力を持ち合わせているようです。
充分注意しなくてはならないですね。
なぜなら、メディアの方向性を決めるだけの力がまだあるということですから。
ということで、今日のお話はこれで終わりです。
バラバラとした記事になってしまい申し訳ありませんが……ここで閉じたいと思います。
ちなみに来週は「どちらにも問題が……ドメスティックとグローバル」と題してお届けしたいと思います。
それでは来週火曜日の7時にまたお会いしましょう♪
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それでは今日も張り切って働きましょう♪
View Comments
初めまして。
いつもためになる情報と分析で、大変参考になっています。
ありがとうございます。
今年度上半期の電通の業績はあまりよろしくないようですね。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44829370V10C19A5DTD000/
https://www.nikkei.com/article/DGXLRST0467140T00C19A7000000/
売上高(収益)と純利益は違うということでしょうか。
前年は黒字なのでどう考えるべきか……私自身それほど経済に強いわけでもないので分からないのですが、経済評論家の戸締りさんがこのように仰っています。
https://twitter.com/daitojimari/status/1193544450460418048
また、こちらは投資での評価です。
とりあえず、増収減益状態であることは間違いなさそうです。
https://manelite.jp/dentsu/
http://suik.jp/report?code=A000001104
単純に考えてはいけないでしょうから、ぬか喜び(笑)となる可能性も考慮に入れつつ、動向を見ていきたいですね。
(私には分析できるほどの能力はないので、見ていることしかできませんが)
失礼いたします。
こんばんは!
詳しく教えてくださりありがとうございます!
私も昨日丁度、渡辺さんが出演されているチャンネル桜を見まして、この時に書いた自分の分析が誤っていた事に気がつき、間違えたことは恥ずかしかったのですが、小さくガッツポーズしてしまいました(^^;)
https://www.youtube.com/watch?v=gNEBmMM3Spk
↑この動画の41分40秒くらいから電通の話始まります。
そろそろ赤字転落なはずのに、売上向上だったかと思って…あの記事書いたのですが、増収減益状態の上にやっぱり赤字だったのかと思って、小さくガッツポーズしました。
教えてくださった日経記事をもっと早く見つけておきたかったです。
本当に教えてくださりありがとうございます。
電通&メディアが牛耳っていたビジネスモデルは、渡辺さんも仰ってましたが、2020年が最後の年となるでしょうね。
そこからまた色々な動乱が起きることになると思いますが、乗り切っていきたいですね。
本当に教えてくださりありがとうございました。
またコメントによって自分の意見を言わせて頂く機会を得られて感謝しています。
どうぞこれからも宜しくお願い致します。