大人になればみんな社会を語り始める。
だけれども……。
社会を語る時に、その様相は大きく二つに分かれると私は思っています。
一つは、理想を軸に語る人。
もう一つは、現実を軸に語る人。
受けがいいのは、絶対的に「理想論」の方です。
それはまるでジブリみたいなおとぎ話の様相を持ち合せ、人の心をファンタジックに惹き付けます。
一方で、「現実論」は泥臭くて……なんらファンタジックな事もなくて、何なら見たくないものと向き合わなくてはならないので、ウケるとかの次元を飛び越えて「言っただけで嫌われる」ことの方が多いんじゃないかなと思います。
ただね、どっちが社会の全体を見て声を挙げているかを見れば、一目瞭然。
それは……「現実論」に根を置いた人ばかりだなと思います。
高山先生の息子のひろし君は、時折ハッと驚く一言を、まるで独り言のように呟く人です。
そして、私がどうしても忘れられないひろし君の言葉の一つにこんなものがあります。
それは私が
「どうしてジブリの宮崎駿監督は、あんなに素晴らしい作品を作るのに、共産系なの?」
と、特段ひろし君に投げかけた訳でもない言葉の後に起きました。
「あの人、どう見たってロリコン。だから、理想だけを語れるんだよ」(要約であり、超訳……つまりは若干うろ覚え)
私は、ひろし君の言葉にハッと気がつかされるものがありました。そして、今まで全く見えていなかった視野が急に解放される気分を味わいました。
そして、私はこんなことを思いました。
「子供の世界を中心に描いていれば、確かに現実から目を逸らすことができ、理想を語ることができる……」と。
私はジブリ作品が好きですし、ジブリ作品を否定する気はさらさらありません。
しかしながら、監督の作品に共感する気持ちを持ち合せながらも、監督がやたらと共産系なのはどうにも腑に落ちなかったのですが……、ひろし君の一言で、どうして監督が共産系なのかが急に分かってきたように思うのです。
しんぶん赤旗日曜版インタビュー・映画監督 宮崎駿さん「平和憲法があったから」
理想の基に生きると、現実は見えなくなり、そしてその理想に共鳴していくうちに「共産型」になるんだなと……。
そして、「共産主義の理想と現実の狭間にあるもの」は、見えなくなるんだなと……。
「理想だけ」を語る人は、現実の面倒くさいことが見えなくなるはずだと私は思ってます。彼らは現実が見えないからこそ理想だけを語るのでしょう。
理想さえ語れば、理想通りになるのだったら、誰も苦労しません。
そうではないから、今の現実がありますが、理想論を語る人は、そこと向き合うのにはそもそも不向きな思考性が強いのかなと思ったりします。
そして、理想さえ語れば、理想通りになると思っているからこそ、声が大きくなるのだなと、最近思っています。
現実が見えている人は、そこまで大きなことは言えないですし、言わないです。
だって、現実の問題点をどうやって解消すれば良いのか頭を悩ませるばかりで、理想論者にありがちな「扇動」ではなく、目の前の問題を解くための方策に頭を使っているからです。
今目の前の事を解決することが、理想的な社会に近づく一歩になると思っている現実論者に扇動など不要なもの。
一方で、理想論者はただただ扇動し、自分の方向性に相手を従わせようとします。
だから、気がつけば理想論者ほど、偉そうになるのでしょう。
「私が引っ張っている」という思いばかりが強くなるのでしょう。
そして「扇動者」は、メディアの威力が強くなったこのご時世において、必要不可欠な人材とも言えるので、やはり持ち上げられやすくなります。
ですから、そのような周りの環境も援護射撃となり、「理想論者ほど偉そうになっていくのでしょうね」
しかしながら、理想論者には徹底的な落ち度があると思います。
それは、理想論が強くなればなるほど、現実が失われるからです。
そして、現実的視点が失われるほど人は、不思議なほど、他人の気持ちが分からなくなります。
他人の気持ちが分かっているように見せかけて、自分主張のバイアスで他人を見ています。
人というのは不思議なもので、他人の気持ちが分からなくなればなるほど、自分が正しいという思いが強くなります。
そして、自分が正しいと思う気持ちが強くなればなるほど、感情は主観が強くなり、そして主観が強くなればなるほど、人との隔たりが大きくなるので、自分のことしか考えられなくなっていきます。
自分の事しか考えていないなって思う人に限って「理想論を語り」、しかも「偉そうな理由」ってここら辺にあるんじゃないかなって、今の私は思ってます。
まずは現実と向き合おう。
現実を一つずつ乗り越えていこう!
すると、理想論より楽しい毎日が発見できるはずだと思うよ♪
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ゆりさん、こんにちは。
ひろし君の一言に感動しました。
昔から男性向けのアニメ、漫画は「メカと女の子」と言われておりまして宮崎監督はその王道なのです。(笑)
「シン・ゴジラ」で有名な庵野監督が昔、「天空の城ラピュタ」について「子どもが大人の世話にならずに1人で暮らして生きてる所が不自然だけどそういうのが宮崎さん。」みたいなことを言ってたのを思い出しました。(うろ覚えです)
「理想を語る人こそ偉そう」と言えば、スピってる金髪のシャンソン歌手の人が昔、ワイドショーで政治家の茂木さんを感情的になじってましたが、結局、理想ばかりで現実に即してないから現実を見てる政治家と話がかみ合わなかったと思うと納得です。
結局、現実を生きることこそ感謝の気持ちや謙虚さにつながり、本当の心の平安を得られる気がします。
今回も腑に落ちる記事をありがとうございました!
おはようございます。
私は、ちよさんが教えてくださった庵野監督の一言が妙に腑に落ちました。庵野監督が声優も勤めた「風立ちぬ」は思えば、宮崎監督の中で随分現実的な映画だったと私は思ったのですが、どうもそこにぬるさや違和感を感じてしまったのは、ジブリの世界にある不自然な自然がリアルに直面すると描けなくなるかなと思いました。
一方で庵野監督の作品は、真逆のフィクションのはずのなかにある「リアル」ですよね。「シン・ゴジラ」が描くフィクションなはずなのにフィクションとは思えないリアルな感じにゾゾ気がして、3度も見てしまいました(^^;)
ちよさんのおかげで理解できたことが急激に増えました、ありがとうございます。
日本の場合は、政治家に「理想を語る人こそ偉そう」が蔓延しているから質が悪いですよね。
国民はそういう政治家に騙されなくなったの次元を通り越して、呆れると通り越して、疲れるようになりましたよね。
ホント、理想はいらないから、今やるべき事をきちんとやれる国会に早く戻ってほしいですね。
こちらこそ、腑に落ちるコメントありがとうございました。
これからも宜しくお願い致します。