日本にはかつて寝ない時代がありました。

それは今も続いているとは言えますが……。

 

憧れだった……24時間働ける男。

あくまで個人的な見解ですが、1980年代後半頃から、人の気持ちはどんどん忙しくなっていったように思います。

これを裏付けるかのように、昭和世代だったらよっぽどみんな覚えているであろうリゲインのCMは、キャッチコピーが「24時間働けますか?」でした。

現代だったら「ブラック企業かよ!」って言って捨てられるキャッチコピーだと思いますが、当時は「働ける俺がカッコイイ!」みたいな風潮はもちろんありまして、このCMが「24時間働ける男にならなきゃ!」みたいな雰囲気を盛り上げており、嫌な見方をする人などほとんどいなかったんじゃないかなぁと思います。

そして、実際「24時間身体を張って頑張らなきゃ仕事が回らないよ!」と言いたくなるような実情もどんどん増えていった頃ではないかなぁと思うのです。

 

24時間働かなきゃいけなかった理由

そもそもどうして1980年後半から、どんどん人は忙しくなっていったかというと、

私が思うにそれは大きく2つありまして

①情報インフラが中途半端に進化した

②高度成長期を経て夜遊びが激しくなった

からではないのかなぁと思ってます。

ちなみに、①はビジネスマンが24時間働かなくてはいけなくなった理由で、②は世相です。

 

①情報インフラが中途半端に進化した

1980年というのは、未だ世の中にインターネットというものは登場しておりません。携帯電話もありません。

しかし、当時画期的と呼ばれた通信網が登場しました。

新たに増えたのはFAXです。

今まで手紙でやり取りしていた情報の共有は一気に迅速化を図りましたが、今思えば断然まだまだ不便です。

しかし、世の中の全体の雰囲気としては、世界を相手にビジネスで戦いましょうと勢いづいている時期です。

中途半端に進化したというより、進化の途中段階という方のが適切かと思いますが、こういうインフラ状態の中で、誰が一番になるかみたいなことを誰もが一生懸命にやっていた時代です。

世の中は常に、先を急げという雰囲気が回っていて、その先を急ぐためには頑張るしかなかったのです。

今でこそ、データーのやり取りに時間を浪費するなど考えられないことですが、ほんの10年、20年前までは、データーのやり取りのためにただ会社で待つとかは普通にあったことで、

またデーター(文章や画像や動画)を作るのも今のように簡単にはできないため、同じ作業をするだけでも倍以上の時間を要し、人手も必要な事情があらゆるところにありました。

 

だからこそ、24時間フルで働く忍耐強さが必要であった時代だったと思います。

 

②高度成長期を経て夜遊びが激しくなった

高度成長期を経て、人々が余暇を楽しめる状況ができるようになってから、夜は賑やかになっていったのではないのかなと思います。

そして、バブルの頃になると、「夜遊び」というものは、誰にとっても普通のこととなります。

特にメディアから流される「夜遊び情報(六本木ベルファーレ的な)」を目にしていれば、若い子たちは「夜遊びしている奴はカッコイイ!」みたいな気持ちが醸成されて当然で、田舎の子供たち含めて夜遊び(暴走族含む)をなんとかして楽しみたい気持ちが増えていったように思います。

夜に繰り出す人が増えれば、市場としても見過ごすことはできません。

夜動いている店が儲かると聞けば、それは市場原理で参入する会社が増えて当然です。

これが、世の中を「年中無休24時間営業」に駆り出した一番の要因だとは思いますが……ネット社会はこの必要性をも失わせました。

 

深夜のファミレスは若者のたまり場だったけれど……

最近24時間営業を辞める企業が増えています。

一番有名なのは、ワンオペで問題となったすき家でしょう。

牛丼「すき家」、全国1200店舗で24時間営業を中止へ

それに次いで、ロイホも24時間を廃止しました。

24時間営業やめたロイヤルホストが増収 客単価増加に成功した戦略

 

誰も24時間営業をやっていなかった時代に24時間営業をすれば、そこは寡占状態になって当然でドル箱になることでしょう。

しかし、競合他社も参戦すれば客の食い合いになって当然です。

さらに、客の全体数が減れば儲からなくなって当然で、ここ5年程前からこれを見直しする企業がぼちぼちと現われるようになってきました。

ロイヤルホストが言ってましたが、ファミレス業界が深夜営業をしていて儲からなくなった理由の一番は若者が来なくなったことと言います。

そして、若者がファミレスに夜中若者が来なくなった一番の理由は「出歩かなくてもコミュニケーションを取れるようになった」事が大きいだろうなと思います。

私が若かりし頃は、携帯電話でちょっと話すだけでもめっちゃ通話料が高かったです。

だから、長めのお喋りをする時は会った方が安くできるので、とにかく友達と会ってました。

しかも電話かメールしかない時代なので、常にコミュニケーションは1対1です。

となると複数の意見を収集するのはやっぱり時間がかかるので、会う方が効率的なんです。

 

でも今は通話も無料だし、ラインとかを使えばグループコミュニティも簡単。

それから互いにSNSを使っていれば、近況報告の必要性もなくなります。

こういうコミュニケーションの変化が、若者たちをわざわざ夜出歩かせる必要性を減らしたのではないのかなぁと思います。

 

ビジネスの方も24時間フルで頑張らなきゃっ!は減ってるのでは……。

同様のことはビジネスの方面でも言えるはずで、昔のように頑張らなきゃなんともならないという状況はインフラの整備と供に緩和化されている傾向があるはずだと思っています。

ただ、前近代の思い込みみたいなものを引きずる大人は沢山いるはずで、それによって非効率な残業は今も沢山あるんじゃないかなぁと思っています。

ただ、せっかくインフラが40年前とは見違える程整備されているのにも関わらず、その恩恵を振り払うが如く、24時間働かなきゃという気持ちを抱えているように見える人たちの姿は「時代錯誤も甚だしい」としか言いようがないなと思ってます。

前にも書いたけれど、今や一人が二十人力の時代です。

【現代】実はそれぞれ二十人力!

そんなに急がなくても、以前よりも仕事は減って当然で、仕事も簡易に終わってしまうのが当然です。

それをふまえた上で、みんながのんびり過ごしながら、未来を作ればいいのになぁと思うのに……。

相変わらず「先を急げ」な感じは続いているように見受けられて、それが多くの人を空回りさせているように思えて仕方ありません。

先を急ぐのではなく、急がば回れなはずなんですけれどね……。

 

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takehisayuriko

View Comments

  • 「朝生まれて夜死ぬ」
    一日は一生の縮図という言葉があります。
    24時間の使い方でその人の人生が確定するのでは
    ないでしょうか。
    1日1日を大切にできる人は良い人生を送れると考えています?

    • 本当にその通りだと思います。
      現代人はそれをすっかり忘れて、本質的ではないことに振り回されているから、みんな不幸せになっていることにどんどん気がついて、そして本来あるべき形に戻っていけたらいいですね。

  • わたしも営業時間が短くなるのは良い傾向だと思っています。
    確かに昔は需要があったからこそ開けるお店が増えたのでしょうけども、今はなくてもいいのに開けてるお店という印象です。

    ①も②もわたしが真っ先に思い浮かぶのは父です。
    経理でずっと働いてきた父は仕事はバリバリして、夜は会社の人と飲み歩いていたので(笑)
    ただ、「良いこと言っていたな」と思うのが、「会社は例え社長がいなくなったとしても仕事はまわっていくもんだ。自分が抜けたら困るだろうとか、実際以上に肩に背負いすぎないようにしなさい。自分がいなくても大丈夫なんだから。」って言葉です(ちなみによく言われたのが、20代前半の時)
    いろいろ欠点も見える父ですが、このことは本当に良いことを言っていると思うという話を母にしたら、「昔からの口癖だよ。その続きがあってね『でも、一流の仕事をするんだ』」と言っていました。

    ブラック企業の話が出ている現代でも、「自分がいないとまわらない」と思って倒れてしまうまで頑張る人って、当たり前のようにいます。
    必要に迫られてという場面もあるかもしれませんが、それ以上に承認欲求から頑張ってしまう人もいらっしゃるように見受けられます。

    わたしは、頑張ってしまう人というのは、「自分に何かあった時に一番悲しませるのは誰なのか」「一番迷惑をかけてしまうのは誰なのか」ということを考えないのかと、メチャクチャ不思議なのですが、同僚であったとしても他人なので、そこまで踏み込んだことは言えないです。
    (身内は時には無茶することがあっても、恒常的に無茶する人はいないんですけどね)

    そういうことを巡り巡ってくると、営業時間が短くなるのとか当然だよねと思います。
    銀行とか、「どうしてこの日に閉まってるの?」とか気軽に文句を言う人とか、わたしは「やな感じの人だな~」と思ってしまう。
    予想できることなら、自分が困らないように対処しておけば良いだけなのに。

    • こんにちは。
      本当に仰る通りですよね。
      承認欲求の高さと自らブラック企業体質になっていく人って結構な因果があるんじゃないかなって私も思います。
      それから、「お客様は神様です」的な感覚が強い人って、たまにしかいかない店でも自分の都合になってないと怒り出しますよね。
      変だなって私も思います。
      それではこれからも宜しくお願い致します。

  • 便利になった分、ノンビリ出来る筈!
    私も以前はそう思ってました。

    でも、NHK朝ドラの、とと姉ちゃんを見ていた時、
    あれ?と思いました。

    家電の商品検査してましたよね。
    家事に追われる主婦を解放し、
    読書など文化的な事に時間が費やせるよう、質の良い家電が出回るように…

    でも、現在これだけ便利になっても、主婦は家事に追われています。
    洗濯機が洗濯してくれる間には、他にする事があるのです。ノンビリ本など読んでいられません。
    それこそ、本を読む時間を捻出するために、
    更に頑張らなくてはいけない…という。

    便利になった分、仕事が増えているのです。
    いたちごっこですね。いやはや。

    • こんにちは!
      便利になったのに、主婦が相変わらず忙しいのは、一人で回さなくてはならない仕事量が増えているからではないのかなぁと思ってます。
      昔だったら、子育ても地域や近所の子供たち、さらに同居していれば家族や親戚にに任せておけば良かったことが沢山あるのに、「親が子供の管理を全てしなきゃ」な風潮になっていけば、親の負担は増えて当然ですよね。
      昔は不便だった分、みんなで分担していたことが全部自分に降りかかってきてしまうような状況になるから、過度なストレスにも悩まれやすくなっているのではないのかなぁと思います。

      敗戦によって家族という観念を壊されてしまい、個人社会になってしまったツケはは大きいですよね。
      取り戻していきたいですね。

  • 久々にコメントします。ブログは読ませて頂いてますが、スピードが速くて読むのに精一杯でした。
    24時間営業は必要ないと思います。電車やバスも夜1時くらいには運行やめますし、都心でも必要ないのではと思います。勿論、夜遅くまで早朝まで働く方はいらっしゃいますが、昼間でも夜間どちらで働こうとも、必要な物を準備する時間というのは取れると思うんです。でも人間は、そこに便利ないつでも購入できるお店があれば頼ってしまうんです。20代の息子がいますが、小学生までは家から水筒を持って出かけていたのに、中学生くらいから、便利だから、飲みたい時に買えるから、水筒を準備するのが面倒重いで、コンビニで飲み物とか買うようになってしまってます(残念)。50代の私は何でもコンビニで購入する習慣は(だらしない事)って思えてしまいます(購入される方、ごめんなさい)。
    会社の利益のために、末端に皺寄せがいってるのも嫌な事だなと思いますが、24時間営業のお店のある事で、人間が事前にこの1週間何が必要かなって事前に準備する習慣がなくなるのも残念です。
    余談ですが、もっと遅くまで営業して欲しいのは病院です。せめて21時くらいまで…19時終了は早いかなと。祝日が月曜だと、土曜の午後からずっと休みになってしまうので、地域で交代でもいいので、病院は営業して欲しいなと思います。
    主婦目線のコメントで偏りがあるかと思いますが、お許し下さい。

    • こんにちは。
      そうですよね。大きな会社の利益のために末端のしわ寄せがいっているのが今の日本ですよね。
      高度成長期は、末端の給料を上げることで内需拡大して日本全体が潤ったのに。その時までは、日本全体がギリギリ家族という考え方があったのだと思います。
      いつの間にか支配するものされるものの形に落ち着いているから、不満と問題が噴出するばかりになってしまったかもしれませんね。

      それではこれからも宜しくお願い致します。

  • コンビニの存在そのものに疑問を持ってますけど
    (厳密に言いますとサービスというより食べ物関係)
    とりあえずは良い方向へ向かっているのかなと
    思います。

    • 私は逆に、食品よりもサービスの拡大という点について、オーナー目線で疑問に持ってしまう事が多いです。
      コンビニは周辺小売店の仕事を奪う形で拡大してきた側面が大きいので、業務オペレートの数が尋常じゃないことになっていて、それをそつなつこなせる人ってかなり能力が必要だと思います。
      でも業務オペレートの数と比べると、給料って安いし社会的身分もたいして高くないです。となると人手が足りなくなって当り前で、外国人労働者に頼ることになる。
      外国人労働者の方でコンビニで働く人はエリートの証だそうです。オペレートの数を考えたら、そりゃそうだって感じかなと思ってますが、本部の思いをオーナーが受け続けるがもうキャパ超えっていう感じになってるんじゃないかなぁと思います。
      色んなことがコンビニで完結できることは、消費者にとってはありがたい事なので続けてほしいですが、その分のメリットがオーナーに渡されるしくみをちゃんと作ってほしいなぁって思ってます。

      セブンイレブンが動けば、大手も動くと思うので、セブンさんには頑張ってほしいなと思ってます。

  • ゆりさん、こんにちは^_^

    時代ですよねー
    リゲインのキャッチフレーズも「3、4時間戦えますか?」に変わったりしましたものね。笑

    深夜のコンビニ営業は絶対でなくてもよいと私も思います。
    コンビニ業界は、不当な外国人の労働力がないと成り立たないようですし、もっともっとコンパクトな営業になってよいと思えます。

    セブンイレブンの流れが他のコンビニにも拡大していくと良いですけれど。

    • こんにちは!!!
      っていうかえぇぇぇぇ!今のキャッチフレーズ「3,4時間戦えますか?」になってるって知らなくって、さっきググってYOUTUBE見ました。
      全然気がついてなかった。あのラムちゃんのCM見たことあるのに、頭の中では24時間が鳴り響いてた。思い込みって恐ろしい。

      戦後70年間充分働いてみんなで頑張って、世界大国と呼ばれる所に戻って、さらに多くの国から「日本は信用できる国」と呼ばれるくらいになれたのだから、競争競争といきり立つことなく穏やかでのんびりしても良いように思うんですけれどね。
      っていうか、競争競争みたいな感じで頑張っている事が、無駄な仕事や無駄な法律や無駄な常識を増やすことに繋がって、生き辛くさせているように思えて仕方ないです。

  • 私の様な夜間変則勤務で働いている者にとっては、24時間営業の店は有り難いです。

    普通営業時間の店の開店を待つと、その分、睡眠時間が削られてしまいますので。

    • 確かにそうでしょうね。
      全てを無くすのではなく、不必要だと思われる場所を無理して開け続けている必要はないかなぁと思ってます。
      すれば全体の健全性はあがるかなと。

      それではこれからも宜しくお願い致します。

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