昨日記事でも情報産業についての変化についてお話ししましたが、
↓これ↓
ちょっと角度を変えて、またまた情報産業の今後についてお話ししてみたいと思います。
ネット産業の充実によって、広範囲の情報が誰でも手軽に取得できる時代になりました。
この流れは既に20年前から始まっています。
分かりやすい変化は、特に広告収入がビジネスの軸となっている情報産業で見る事ができます。
昨日はテレビや新聞についてお話ししましたが、雑誌産業もテレビ&新聞同様に、広告収入がとても重要な収益の一つとなっています。
グラフは出版統計資料グラフよりお借りしました。
戦後の出版業界の盛り上がりは、雑誌文化の成熟と比例関係にあったことがこのグラフから見て取れます。
業界最高益は1996年であり、そして業界の売上アップを支えていたのは雑誌だったのですが、この年をピークに雑誌販売は年々左肩下がりを続けています。
書籍の販売額も雑誌同様に落ち込んではいますが、雑誌の落ち込みと比べれば、ほぼ横ばいと言えます。とは言え書籍は、一冊当たりの販売部数は軒並み下落しているはずなので、販売冊数を増やすなどの対応で売上額を維持しているはずだから、内部は大変でしょう。しかし、それでも雑誌の落ち込みよりはまだマシと言えるのかもしれません。
また、雑誌の販売額の落ち込みとネット産業の発展は分かりやすいほど比例関係にあることは、多くの人は気がついていると思いますが、きちんと歴史を見直すと、もっと驚くことになると思います
なぜなら、Yahoo!が創設されたのは1995年のことだからです。それからたった5年の間に、いわゆるITバブルというものが世の中を覆っていきました。2000年時にYahoo! JAPANの株が1億円を越え、1億140万円にまで達したことを覚えている人も多いでしょう。
つまり、Yahoo!の登場と情報が手軽に取得できる環境はリンクした関係にあり、検索システムの構築によって情報が手軽に入る環境が整ってしまったからこそ、雑誌のような移り変わりの早い情報に対してお金を払うという感覚が消費者の中から消滅していくようになりました。リクルートのような求人情報誌を始めとした旅行雑誌、賃貸情報誌などは、利便性の観点から雑誌を廃刊し、ネット上のみでやり取りする形に変わっていきました。
情報産業においてお手軽な情報ほど、早い段階でネットの影響を受けることになりましたが、高額販売を実施している情報産業はこのような変化は、未だこの時代はどこ吹く風の話だったことでしょう。
なぜなら、1990年後半から2000年代は、情報過多な上に移り変わりの早い社会の中で、顧客をいかにつなぎ止めるかが議題の主流で、CRM(カスタマーリレーションマネジメント)という考え方が脚光を浴びた時代だからです。この時代は、様々な情報によって顧客が固定化しないことに対してどこの企業も頭を悩ませていたので、有料リピーターを育成し、囲い込むことを軸とするCRM的な考え方で企業の売上を安定していくことが命題となっていました。
そして、これは私の感覚的主観なのですが、この頃からビックデータを軸とした囲い込み産業(Tポイントカード的なもの)や囲った顧客に対する優劣の選別が激しく行われるようになってきたと思います。さらに不況の後押しもあって、クローズマーケットを作り、その檻から顧客を流出させないようにするというような閉鎖的な考えも強くなったように思います。
このような閉鎖的価値観が強く出ている時代だからこそ、セミナービジネスが花開いたのではと思うことが多々あります。
ネットの登場によって、さらに世の中の情報速度は速くなり、トレンドはある日突然変わることも増えていきました。この速度についていくための優位な情報を持ち合わせている人が勝ち組であるような幻想が世の中を覆いやすくなったように思います。だからこそ、新しい情報や優位な情報を欲しがる人が増えていったので、そこが商売としてウケたのではないかなと。そしてCRM的な考え方に基づくユーザーの囲い込みの第一段階として、セミナーが有効利用されていったのではないのかなと思っています。
ですが、さらにネットが発達し、SNSが登場すると、情報流通の形はさらに大きく変化します。
それまではネットという環境も一方通行な媒体であったため、情報流通という概念においては、ネットもオールドメディアとの違いはあまりありませんでした。
しかし、SNSが軸となるネットは情報経路が大きく異なっています。SNSは相互情報交換が可能な媒体ですから、こちらが主流になればなるほど、クローズドな情報の付加価値は減少していくことになります。
つまり誰もが簡単に発信できる世の中になってきたために、それまでであればお金を払って得るしかなかったはずの情報までもが無料で手に入れやすくなったのです。
セミナー金額の高騰は、この時代の変化によって引き起こされている部分は大いにあると思います。
情報流通の仕方が変わってしまったために、情報を求める顧客数が大幅に減った。一方でなんとか売上を一定にしなくてはならないという企業やセミナー主催者の思惑があったために高額になっていったのではないのかな?と。
また、それまでの時代の背景によって、「高額をつける情報にはそれに見合った効果が得られるのではないか?」と消費者が勝手に思い込む部分もあったんじゃないかなぁと思います。
ですが、ここ数年、SNSを主体とした起業セミナー陣たちがやらかしすぎたので、この形のビジネス全体がとにかく胡散臭くなり、ビジネスイメージは回復の見込みを感じさせないほど低くなってしまいました。
さらに、そもそも今時なんて、わざわざセミナー通いしなくてもほとんどの情報は無料で手に入ります。
ですから、これからは情報に価値をつけたり、情報に高額な値段を与える商売は難しいというか、終わったとみるべきだろうなと思います。
情報価値がお金になるのは、単に情報産業だけではありません。
元々の始まりは、高度成長時代を背景に伸びていった海外ブランド産業や、バブル期に花開いた日本のDCブランド文化であっただろうと、私は推察します。
各ブランドがブランド力を高めることで、素材や手間賃には見合わない高額な商品が当たり前に売られ、顧客はそのブランド価値を欲しがりました。そこにあったのは、素材やデザイン性に対する価格ではなく、単純に「情報価値」だったと私は思います。
本来の労賃には不釣り合いな情報価値を後付けすることによって、いわゆる「ブランド力」というものが商品価格に大きく影響されるようになりました。
しかし、そういった本来の商品価値とは不釣り合いな商品を、情報価値で付加した価格でごまかしながら商売していくことは、今後益々難しくなっていくだろうなと思います。
なぜなら、情報というものに価値がどんどんつけられない環境になっているからこそ、ラグジュアリー性の高いブランドであったとしても、そこに価値を見いだせない人がどんどん増えるだろうなと思うからです。
一方で情報が制限無く増えたことによって、ノーブランドであっても、きちんとした素材と製法を行って適正な価格で商売している人たちを見つけられるようになりました。今後はこのような実直な仕事をしている人たちがより脚光を浴びることになるだろうなと思います。
だから、適正な労賃と制作コストに見合った商品がより求められるようになると思います。
すれば、益々情報に価値は見いだせない人が増えていくことになるでしょう。
つまり、はっきり言ってしまえば、既に情報に価値を見いだす時代は終わったと思うので、自分の情報に優位性を持ち合わせることなく、単純な労働単価として情報を捉え、値付けする時代に入ったのだろうと考えた上で商売していくことが大事だろうなと思います。
ですから、自らの情報に優位性をつけて、情報を高額で販売して商売している人たちは、完全にトレンドから遅れをとっているように思いますね。
時代の変化に気がつけないって可哀想ですよね。
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